劇評第二弾をアップして頂きました。
俳優田中遊は、学生時代の、それこそ高校時代からの憧れのひとでして。
昔観たふたり芝居で、腹がよじれるほど大爆笑して帰った記憶があります。
二枚目なのに、演技うまいのに、なんでこんなにひとを笑かせるんだもうやめてくれってほど笑って帰ったのに、他の芝居で観たらシリアス二枚目でやっぱり演技うまいとかほんとこのひとなんなんだ!
といった具合で、小劇場に通い始めたころの私の心臓鷲掴みでした。
月日が経ったとはいえ、同期や後輩が共演したり同じ現場に立つようになってきたとはいえ、自分なんぞが劇評を担当するようになるとはあわわわわ・・・
って実は思ってますけどまじめに書きました。
こっからは自分の話をしますが、
前回の劇評はくそまじめに書きすぎてがっちがちでしたけども、今回は自分のなかで言いたいことのバチっと言えた納得のいく文章ができました!
ちなみに私の文章の完成度と実際のお芝居のおもしろさは比例しません。
なので前回のオイディプスがこれよりおもしろくなかったとかそういうことではありません。
おもしろすぎてまとまらないときもあれば、おもんなさすぎて燃えあがるときもあります。
(ただ、自分にとってのおもしろいことはおもしろい、つまらないことはつまらない、とはっきり書くようには心がけています。)
芝居を観たあとにどうしてもああだこうだ言いたい私には、なんならその捌け口が無かったが故に劇場に通うのをためらっていた私には(観た芝居がおもしろくても腹立つほど最悪でも収拾がつかなくなるので…)この劇評というものは、いろいろ整理できるし、しかもそれを掲載までして頂けるとはなんとも有難い存在だと思いました。
ここからはさらに自分の話をしますと
ほんとうに文章はつくづく生き物で、昆虫採集をしているようだと思います。
道などないぐちゃぐちゃで鬱蒼とした森
あるいは絶望的なほどなんにも見つからないのではというぐらいだだっ広い荒野を歩き回って
歩き回って歩き回って歩き回っています
もういやだかえりたい…こんなに歩いたのに蠅の一匹も見かけないんじゃ何の成果も無いじゃないか
そもそもだれが喜ぶんだこれ…
というか私はこんなしんどい思いはしたくないし虫なんか好きじゃないんだばっかやろおおお…!
と泣きながら倒れこみます。
まあ泣いたところで誰も助けてくれませんしそもそもここにはだあれもいやしません。
ひとりで行くしかない。
もうなにもかも嫌になって食料をやけ食いしてみたり
ふて寝したりして時をやり過ごします
もうこのままのたれ死ぬしかない…ここでさみしくひとり息絶えるのだ…
ううう…うううう…
ううううう……
するとですね、頭の上でパタパタ・・・と音がするじゃありませんか
ハッと顔を上げるとそこには、なにかいるではありませんか
私が追い求めていた蝶々がいるではありませんか
青い翅のモルフォ蝶
その大群がむこうからやってきます
そうです!私はこれをとりにきたんです!
これをとって、いっぱいとって、紙の土台に縫い付けて並べて、標本にしたらさぞかし綺麗だろうと思ったんだ!!
感動している場合じゃ無い!幻覚かと疑っている場合じゃない!はよつかまえろ!
つかまえんとすぐどこかに行ってしまう
目的を見失う
うわあああ・・・・うわあああ・・・・
あああ・・・・・
・・・
・・
と息を切らせ、格闘し、手にまで汗をかきながら虫かごを抱えて全力疾走で家に帰ります。
(帰る途中で数匹逃げたりする)
生き物を殺すのに若干ためらいつつも目的を果たさんがため、ひたすら一匹ずつ縫い付けていきます。
向こうも生きているので盛大に抵抗されます。(ここでも数匹失敗して駄目にする)
生きて飛び回る手にはいらないものをとらえて
自分の思うように並べられたときの達成感
見せびらかしたくってたまらないですし、自分は本当に天才なんじゃないかってぐらい舞い上がったり
新種なんじゃないか!?と思うようなものに出会えたときはそりゃあもう大興奮で
死ぬ思いをして手にいれたものを、思うようにできたときはもう死んでも良いってぐらいしあわせで死にそうになりますが、せっかくしあわせなので生きることにするんです。
毎回モルフォ蝶じゃなくって、モンシロ蝶だったり黄金虫だったり、台所にいる小蝿だったりすぐに会えたり絶望的に時間がかかったりするわけですが。やめられなくてまた旅に出ずにはおれません。
実際は旅に出るどころか近所のスーパーに行くのもいやってぐらい一歩も外に出ず部屋にこもってこんなことばっかり考えて他に楽しいこともあるだろうにちょっと頭おかしんじゃない?と自分でも思いつつやってるわけですが
だれになんと言われようと、わたしのしあわせのくにはそこに存在します。
ちなみに現実の昆虫採集には一切興味がありませんし虫は大嫌いです。
以上、イメージの話になりましたが、ようはなんで私は劇評を比較的すぐ書くくせに自分の作品はなかなか書けないのかっていういいわけでした。
かしこ